Q&Aコーナー

Ⅰ、「イエス・キリストについて」

Q1.「キリストは本当に実在したのですか?」

A1.キリストが実在したことを疑う歴史家は、今日おりません。ですから、キリストの実在を疑う人がいれば、その人は歴史の事実を知らない人です。代表的なローマの歴史家タキトゥスは、その著『年代記』に、テベリオからネロまでのローマ皇帝の歴史を書きました。その中で「クリスチャンという名が由来する『キリスト』という人は、皇帝テベリオの治世に、総督ポンテオ・ピラトの手で死刑に処せられた」と記しています。

 また有名なユダヤ人歴史家で、キリストと同時代の人であったヨセフスは、その著『古代史』に次のように記しています。「そのころイエスという者が現われた。もし彼を人と呼ぶべきであるとすれば、まことに賢人そのものであると言わねばならない。なぜなら、彼は驚嘆すべきわざをなし、喜んで真理を受け入れる人々の教師であったからである。彼はユダヤ人ばかりでなく、多くのギリシア人をも指導した。この人がキリストであった。そして彼は、われわれの間の指導者たちの非難を受け、ピラトが彼を十字架の死刑に処したときでさえ、さきにキリストを愛した人々はとだえることがなかった。というのは、彼は三日目によみがえって人々に現れたからである。神の預言者たちは、彼について、これらのことのほか、多くの不思議なことを預言していた。」

 またユダヤ教の『タルムード』には、「ナザレのイエスは弟子たちを集め、『魔術を行ない、イスラエル人を迷わした』かどで罪に定められ、過越の祭りの前夜、十字架につけられた者であった」と記されています。

 これらのキリスト教以外の歴史的資料が、新約聖書の中の、特に四福音書の記録と、その詳細な点に至るまで一致しているということは、実に興味あることです。こうしたことから、キリストの実在について、無知による以外、だれ一人として否定する人はおりません。