Q&Aコーナー

Ⅰ、『宗教について』

Q3.「なぜ新興宗教はいけないのでしょうか?」

A3.新興宗教はみな、人の必要に応じて人が作ったものであるだけに、その時代のある程度の問題については、解答らしいものを示しています。しかし、時代が変われば、変身しないと、その時代に応じきれないという欠陥を持っています。そのために、時代が変わるたびごとに変身してきたのです。

 新興宗教の大半は、現世的な御利益主義の上に立っていて、それに伝統的な祖先崇拝やシャーマニズム(病気を治したり、占いをしたりする術)が結びついています。従って、新興宗教は、病気治療とか、農作物の豊作とか、金もうけができるといった現世的な御利益中心なのです。しかも、それを呪術的な行為によって、特別な資格を持った人が行ない、大衆はただそれについていけばそれで済むというたやすさも、大きな魅力になっています。それで大衆の多くが群がり集まるのも自然のことと思われます。しかし、はたして現世的な御利益で、すべてが解決してしまうものでしょうか。私たちにとって大きな悩みは、いつも全人格的なものです。病気の時の悩みは、病気そのものではなく、なぜ自分は病気にかかったのかとか、病気の間、他人の人に遅れを取ることのあせりであったりするのです。貧乏についても同様です。

 私たちの悩みの解決は、こうした全人格的な悩みに対する解決でなければなりません。新興宗教は、全人格的な悩みについては、何ら解答らしきものを持っていません。ただ人間の欲望をただ肯定しているだけなのです。しかし、本当の問題は、私たちの欲望をどのように見るかということなのです。新興宗教は、人間のこのような本質的な問題に何の解決も与えていないのです。